●プロローグ
2004年もクリスマスシーズンに入り、だんなの有休は後4日残っている状態。今年最後の旅行をどこにするか、食事の際に必ず話題に上るが、なかなか決まらなかった。というのも、11月から小刻みに休みを取って北イタリア、トルコのイスタンブール、フランスのボルドー、私は日本へ一時帰国、そして母を連れての南ドイツ旅行と、ずうっと旅を続けてきたので、母が無事に日本へ帰国した後は、放心状態に陥っていたのだ。 |
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●ブエノスアイレス '04年12月24日(金) 23日夜の便は、キャンセルになった他の便の客を詰めるだけ詰め、一時間以上遅れてサンパウロに到着。ここでブエノスアイレス行きの便に乗換え、約15時間後にエセイサ空港に降り立つことができた。午前中だし、コレクティーボ(市バス)で安く行こうとバス停へ。86番のバスはなかなか来なくて、ちょっとイライラ。後10分待って来なかったらリムジンバスで行こうと話していたところでやっと来た。ところが。10ペソ札を差し出しても受け取ってくれない。コイン専用の券売機でしか切符を買えないのだ。ドライバーのおじさんは「いいから後ろに乗れ」とスペイン語で言ってる(推測)。結局、検察に怯えながら無賃乗車してしまった(苦笑)。約2時間後、5月広場近くで降り、ありがとうの意味を込めておじさんに手を振ったら、笑って頷いてくれた。いい人だ。 その後、冷房がなくてムッとする地下鉄C線に乗りサン・マルティンで降りる。駅の近くにあるホテルに入りチェックイン。ホッと一息。一服してから、明日のペルー行きに備えて、空港行きリムジンバスの停留所を探しに出かけたのであった。 |
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ガイドブックの地図を頼りにリムジンバス(Manuel Tienda Leon社)のオフィスを探すが、どうしてもない。何人かの人に聞いてやっと、シェラトンホテル近くに引っ越したと、通り沿いにあるホテルのドアマンさんが教えてくれた。サン・マルティン広場を横切って、シェラトンホテル方面に向かう。広場には原始時代からあったんじゃないかと思うようなぶっとい木が、あちこちに植わっている。今後観光していく内に、それがサン・マルティン広場だけではないことに気がつくのだが、とにかくスゴイ。15分くらいかかって、やっとバス会社のオフィスに到着。明日早朝のバスのチケット(一人22ペソ)を買い、ホテルまで迎えに来てもらうようお願いする(一人1ペソ)。これで一安心だ。国際線(エセイサ空港)・国内線(ホルヘ・ニューベリー空港)行きのバス時刻表をもらってオフィスを出る。さあ、どこに行こうか。 こっから歩いていけるのはレコレータ地区ぐらいだ(約1キロ強)。ということで、ネオ・ゴシック様式の建物であるレティーロ駅や、イギリスから寄贈されたという英国塔を眺めつつ、すたすた。リベルタドール大通り沿いには、放ったらかしの野外博物館や肉体の極地みたいな男性の裸体像が立つ公園なんかがあり、面白い。道路向かいは高層の高級マンションが立ち並び、玄関にはガードマンが必ず立っていた。ブエノスアイレスは高層ビルが多い。地震のない国はいいなあ、と思いながらシゲシゲと眺める。 | ||||
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まずは国立美術館へ向かったのだが、12月24、25日は閉館という紙が張り出されていた。仕方ないので、次の目的地レコレータ墓地へ。ちょっと寄り道してお洒落なレストラン街とやらへ向かう。ここはハ−ドロックカフェなんかも入っていて、清潔な雰囲気である。その後、お土産屋の屋台が並ぶ通りを行くと、聖母ピラール聖堂が見えてくる。中を拝観後、いよいよレコレータ墓地へ。1882年に開設され、ブエノスアイレス最古かつ最も由緒ある墓地とのこと。なるほど、ゴージャスな納骨堂が立ち並ぶ様は、ちょっとした町のようだ。中を覗くと棺がボンボンと置かれているのが見える。ここでの見所はエビータの墓地だ。ガイドブックによると、「エビータ」ことマリア・エバ・ドゥアルテ・デ・ペロンは私生児として生まれ恵まれない少女時代を送ったが、ひょんなことから女優となり、さらにはペロン大統領の夫人の座を得、ペロニスタ婦人党を組織するなど政治面でも大きな功績を残した、とのことだ。彼女の生涯は映画にもなっているので、いつか観てみたいと思う。 墓地にはたくさんの猫達がいた。キャットフードをあげているところを見ると、養ってあげているらしい。墓地に猫を捨てるという行為は、どの国にもあることなんだなあ(苦笑)。 |
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墓地を散策した後、レストラン街まで戻りカフェに入った。スペイン語がうまく伝わらずにコーヒー以外に紅茶が2つも来て、びっくり。紅茶をコーヒーとケーキのセットにあらためて換えてもらう。ゆっくりとお茶した後、別の通りにあるレストランを見て周り、その内の一つに入って夕食をとった。お腹が空いてなかったので軽めの料理にしてしまったが、近くのテーブルに運ばれた、焼いた肉の盛り合わせみたいな料理がすごくおいしそうで、次の食事のときは、絶対ステーキを食べようと心に誓う。徐々に日が沈み始め、レストラン向かいにある夕暮れのレコレータ墓地は本当に美しかった。季節は夏。暑さが薄れ、涼しい風が心地良い。まるで時間が夏まで逆戻りしたように錯覚してしまう。旅は始まったばかりだ。 |
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